研究分野
新規機能性ポリジエンゴムの開発
シリカ等無機物とのハイブリッド化
新規ジエンモノマー類の精密重合(分子量とミクロ構造制御)
ポリジエン類共重合体の開発
金属錯体による重合制御
重合技術
アニオン重合
ラジカル重合
配位重合
多くの合成高分子は比較的分子量の小さな単量体が多数共有結合でつながってできていますが、その結合の仕方(ミクロ構造)により、高分子の物性は大きく異なります。私たちは「1,3-ジエン」をキーワードとし、種々の官能基を有する1,3-ジエン類の合成と重合、新規ゴム材料の創成に関する研究を行っています。
官能基を有する新規1,3-ジエン類の合成と重合
ポリジエン類はゴム材料として有用であることはもちろんですが、それ以外にも、残存二重結合の反応性を利用した高機能化が可能であるなども魅力ある特徴のひとつです。また、右図に示すように、同じのモノマーでも重合条件をコントロールすることにより多様なミクロ構造を有するポリマーに変換することができ、物性を制御することが出来ます。さらに、モノマーに官能基を導入することにより新しい機能・性能を付与することも出来ます。この場合、導入した不安定な官能基を重合時に保護するなどの方法も必要となります。
私たちの研究室では、新規機能や性能を持つポリジエン類を開発するために、様々な官能基を有する新規1,3-ジエン類(モノマー)の合成とその重合に関する研究を行っています。
低燃費高性能タイヤ用材料の開発
膨大な数の自動車が利用されています。自動車用タイヤには、重視すべき性能としてグリップ性能(安全性)と燃費性能(低転がり抵抗性)があります。これらの性能は相反するもので両立は困難であるとされています。しかし、現行の乗用車用タイヤの転がり抵抗を半減できれば燃費は6%程度改善することができることが知られていますので、グリップ性能を保持したままタイヤの燃費性能向上を実現できれば、莫大な量のCO2排出量を削減できることになります。その実現のために、最近、シリカ充填ゴムのタイヤへの利用が研究されています。本研究室では、「低燃費かつ高ウェットグリップ」を兼ね備えた高性能タイヤ材料の開発のために、シリカ粒子との親和性に優れたポリジエン類の開発や、ゴムマトリクス中にin situでシリカ粒子を充填する方法の開発の研究を行っています。
高分子反応を利用したブチルゴムの改質
ブチルゴムは二重結合が極端に少ないゴムで耐候性や耐オゾン性に優れる反面、架橋が困難であるとされています。この問題を解決するために、ブチルゴムの特性を残しつつ高分子反応で架橋性官能基を導入することを試みています。